備前焼の里伊部で、目を奪われる作品に出会いました。
こちらは松嶋弘さんの花瓶。アシンメトリーな形と桟切の絶妙なバランスに一目惚れでした。
こちらは小西陶古のコーヒーカップ&ソーサー
紺鼠 薄鼠 藍鼠 黒鳶 赤墨…そんな色を追っていたら、金や銀も見えるではありませんか。
さらに手に持ったときの、手に吸い付くような肌理細かな質感たるや…
私が今まで抱いていた備前焼のイメージは、これを手にした瞬間変わりました。
この肌理の細やかさは、田圃の奥深くから掘り出した土を、何度も何度も漉すことで得られるとうかがいました。
同様の質感は、こちらの夏茶碗にも。
青備前です。
窯の中で酸素に当たらない状態で焼かれたときだけ生まれるのが青備前。
もっと青味の強いものもありますが、このお茶碗では青色は抑え気味で、檳榔子染色といった感じです。
藁によって生み出された緋襷の文様は、写真ではベージュ単色に見えますが、実際はそこに金色が重なり、雲の隙間から夕陽が漏れる夕空を見ているようです。
野趣、侘びさび、素朴、ときに豪快といったイメージの備前焼ですが、洗練、繊細、優美といった顔もあると知りました。