岡山県東部に位置する備前市の伊部は、日本六古窯の一つ備前焼の里です。
町には数多くの窯元が点在。赤煉瓦の煙突や備前焼が敷き詰められた店舗前のオープンスペース、備前焼で作られた案内表示などが目を惹きます。
伊部の町は山々に囲まれています。その山の斜面を利用して、鎌倉時代から備前焼が作られました。
こちらは室町時代から江戸時代にかけての大規模な窯跡のうち、不老山中にある伊部北窯跡。現在ここは忌部神社の境内でもあります。
忌部神社の御祭神は天太玉命。大和朝廷の祭祀を司った古代氏族・忌部氏の祖とされる神さまです。
目を凝らすとあちらこちらに陶片が転がっていますが、ここは国の史跡。持ち出しは厳禁です。
また伊部北窯跡の南、不老山の麓には江戸時代の天保窯が残っています。
江戸時代も半ばを過ぎると、備前焼の需要が減少し、藩の保護も手薄になっていったため、小型で効率のよい窯が築かれたのです。
こちらが内部。
昭和の初期まで使われていました。
ちなみに現在忌部神社は、こちらの天津神社の摂社になっています。
天津神社でも、屋根や参道などに備前焼が使われています。
まさに備前焼の里です。
余談ですが、連載「歩いて旅した東海道」の「原」の章で、備前の話が登場しますので、どうぞお楽しみに!