連載文中でも触れた矢奈比賣神社(見付天神)では、毎年旧暦の八月十日直前の土日に裸祭が行われます。
中心となる神事は、矢奈比賣神社の御祭神である女神が神輿に移され、遠江国総社の淡海国玉神社へ渡御するというものですが、それに先立ち腰蓑をつけた裸の男衆たちが町を練り歩き、拝殿で乱舞することから裸祭と呼ばれています。
裸男たちは最初四つの集団に分かれて東海道を練り歩き、次第に勢いを増しながら順次神社に向かいます。
裸男たちが拝殿に入ると、鬼踊りと呼ばれる激しい練りが行われるのですが、その迫力たるやすさまじいものがあります。(写真が下手でうまく雰囲気をお伝えできていませんが、冒頭の写真がその様子です)
深夜、町中のすべての灯りが消されると、漆黒の闇の中を女神を乗せた神輿が淡海国玉神社に渡御されます。
神様は翌日の夕方、静かに元の矢奈比賣神社に戻られます。
裸祭の起源として、連載文中でも触れた悉平太郎の怪物退治を喜んで踊るようになったとか、菅原道真を勧進した際の歓喜の舞が始まりとか諸説あり、いまだ確かなことはわかりません。
この神事は他にも前後にさまざまな行事があり、複合的です。裸男たちによる踊りと、女神の渡御は、分けて考えた方がいいのかと思いますが、何にせよ見付の様々な歴史の断片が盛り込まれていることは間違いないでしょう。
国の重要無形文化財に指定されている裸祭。今年中心となる神事が行われるのは9月15日(土)と16日(日)です。
ご関心ある方は是非一度お出かけくださいませ。