大阪北部、箕面の山中に、奈良時代創建と伝わる真言宗の古刹で、西国三十三所第二十三番札所にもなっている勝尾寺があります。
山門をくぐり、霧に包まれた橋を渡ると、二十六万平方メートルという広大な境内に、多宝塔や大師堂、本堂などが点在しています。
伝承によると、神亀四年(七二七)善仲、善算上人が仏道修行のためこの地に草庵を築いた後、光仁天皇皇子の開成が両上人を師として天平神護元年(七六五)に弥勒寺を創建したことに始まります。
以前このブログで箕面の滝を取り上げましたが、勝尾寺はその滝から北東に二キロほどのところにあります。滝も含めた箕面の山は山岳信仰の聖地で、勝尾寺もその拠点として古くから栄えていました。
清和天皇の時代、時の住職が天皇の病気平癒を祈願したところ、効験があったことから、勝王寺の寺号を天皇より賜わりましたが、畏れ多いとして王を尾に改め、勝尾寺と号しています。以来、勝運信仰が盛んになり、源氏から徳川まで、各時代の武将らも参詣に訪れたと言われています。その信仰は現在も続いていて、境内にはあちらこちらにだるまが奉納されています。
源平合戦で多くの伽藍を焼失、源頼朝の命で再建されており、薬師堂だけが当時のものですが、現在あいにく修復中。山門と本堂は豊臣秀頼によって再建されたものです。
写真左が山門。右が本堂です。
手入れの行き届いた境内。あちらこちらで木々が色づいています。