各地で紅葉が楽しめる季節になりました。紅葉狩りに行かなくても、いつも歩いている並木道が、日を追うごとに黄色や赤に染まっていくのを見るのは楽しいものです。
日本の季節の移ろいは、少しずつ白い和紙に色が滲んでいくように繊細ですが、最近は急な変化に驚かされることが多くなってきました。
少しずつ穏やかに巡っていってくれると、心も体も順応しやすいのですが…。
さて、季節が移り変わったときに訪ねたくなるのが、京都の姉小路にある創業文化四年(一八〇四)の亀末廣さんです。
写真は茶室に見立てた杉の箱に、季節感あふれる干菓子や半生菓子が詰まった「京のよすが」。四畳半とも呼ばれます。
この小さな四畳半にどんな季節が込められているのだろう…と箱を開けながら心ときめく和菓子です。
どれも繊細な優しい甘さでお味がいいのはもちろんですが、四季を表現した洗練された美的感覚はさすが。京文化の奥深さを感じます。
こうした繊細な手仕事は、いつまでも受け継がれていってほしいものです。