今年は例年に比べ木々の色づきが遅れましたが、ようやく近辺でも紅葉が楽しめるようになりました。
大阪北部の箕面に日本の滝百選にも選ばれた大滝があります。滝に通じる渓谷沿いの二、八キロほどの道は春は新緑、秋は紅葉を楽しむことができ、散策にはもってこいです。今住んでいるところから車で十数分と近く、日常生活圏内にあるのに、滝道に入ると日常から切り離され小旅行気分を味わえるとあってお気に入りの場所です。先日車窓から見える山がだいぶ色づいていましたので、滝道も見頃のはずと、入り口付近を少し歩いてきました。まだ緑が残ってはいたものの、陽当たりのよいところはきれいに色づいていて、何度も足を止め見入りました。とくに滝道に入る手前にある西江寺の紅葉が鮮やかでしたので、今日はその様子を。
西江寺については、以前の投稿で御由緒などに触れていますので、ご関心のある方はこちらをご覧ください。かつて箕面の山は山岳修行の場として栄え、西江寺も役行者によって開かれたと伝わります。寺伝の通りなら千四百年もの歴史を有していることになります。勝尾寺や瀧安寺のような規模はありませんが、地元の人に聖天さんと呼ばれ親しまれています。瀧安寺同様神仏習合の名残を残しており、鳥居が神域との境界を示しています。
鳥居脇にまず見事な一本が。
上を見上げながら石段を上っていくと、途中に弁天堂があります。この辺りはくすんだ色でしたが、さらに石段を上がり寺務所や大黒堂、聖天閣のある平坦な場所に出ると、鮮烈な赤に染まった大木に目を奪われました。
ハウチワカエデという種類です。ここからさらに少し上がったところに本堂があるのですが、本堂に通じる入り口に相応しい見事な色付きでした。
本堂にお祀りされているのは役行者作と伝わる歓喜天です。秘仏で拝観できませんが、心をこめて祈願すればどんな願いも叶えてくださるという現世御利益の力を秘めています。手を合わせ、いくつかお願いを。
お参りを済ませ石段を下りてくると、赤、オレンジ、黄、緑が空を覆うように散りばめられています。
赤といっても様々な赤があり、同じ木、同じ枝の赤でも、一瞬一瞬で違った色になります。この日は晴れていても、ときおりすっと陽の翳る瞬間があり、そのたびに色のバリエーションが増えたようでした。
南にも入り口があります。枝葉を拡げた紅葉が陽ざしを遮り、陰翳に富んだ参道。鮮やかな紅葉の下に立ち、陽光に照らされた葉を裏側から見たときが、一番美しく感じられます。
ちなみに滝道の色付きはこのような感じでした。
水面に映り込んだ色にも魅せられます。