由比で桜エビ漁が始まったのは明治二十七年(一八九四)、二人の漁師が鯵の網引き漁をしていたとき、偶然大量の桜エビが獲れたことに始まります。
桜エビは水深二~三百メートルの深海に生息していて、夜になると水深二十~五十メートルぐらいのところまでプランクトンを求めて上がってくるので、そこへ網をかけて獲るのだそうです。
桜エビは海中では透明ですが、水揚げされると鮮やかな桜色に変わります。その美しい色から海のルビーと呼ばれることもあります。
生態が解明されておらず、養殖もされていません。東京湾や相模湾にも生息していますが、富士川、安倍川、大井川が流れ込む駿河湾はとくに生育に適していて、漁が行われているのは駿河湾だけです。水揚げは由比港と大井川港の二港のみ。ということで、由比に来たら生の桜エビを買いたいと思っていました。
こちらがその生の桜エビです。つやつやふっくらとした生の桜エビは甘みがあります。そのまま食べてもよし、かき揚げにしてもよし。由比には何軒が桜エビを食べられるお店がありますので、由比に行かれた際には是非。(桜エビ漁が解禁になるのは春と秋だけですが、冷凍した生の桜エビを通販で買うこともできます。)
漁の時期、水揚げされた桜エビは富士川の河川敷で天日干しされます。花畑のように地面を赤く染める桜エビと富士山はまさに絶景です。