早くもお鍋がおいしい季節になりました。
念願かなって手に入れた雲井窯の飴釉蓋木ノ葉土鍋の出番です。
滋賀県南東部に位置する信楽は、日本六古窯の一つ、信楽焼の産地です。その信楽の旧雲井村に戦後窯を築き、業務用鍋として丈夫で滑らかな鍋を作り続けているのが雲井窯です。(創業の地は京都の伏見、一七六五年のことです)
信楽の土が良いのは、太古の昔そこが琵琶湖だったから。琵琶湖はおよそ四百万年~六百万年前に伊賀に出来、その後北に少しずつ移動し、現在の場所に至ったのはおよそ百万年前~四十万年前と言われています。そうした琵琶湖の通り道は古琵琶湖層と呼ばれ、肌理が細かく粘り気があるので、焼き物にはぴったりなのです。
丁寧に処理した陶土を足で踏むことで、堅さや粘りを調整し作られた雲井窯の土鍋は非常に堅牢ですが、優れているのは機能性だけではありません。しっとりと光沢のある釉薬が鍋の外側だけでなく、内側にも底にもかけられているので、どこから見ても美しく、一つの作品のようです。
全体に釉薬をかける技法は、雲井窯九代目中川一辺倒さんが考え出したもので、とくに底に釉薬がかかっていることで、火にかけられたときにひび割れしにくいのだそうです。
使いこむことで、熱の周りがよくなるとのことなので、今年の冬はいろいろな鍋料理に挑戦してみようかと思っています。
ちなみに、かなり先になりますが、「歩いて旅した東海道」の石部で古琵琶湖のことが出てきます。古琵琶湖層の魅力は他にもありますので、どうぞお楽しみに!