これ、何に見えるでしょうか?
飛鳥を巡っていると、このようなどこかユーモラスな石造物に出会います。
上の写真は亀石と呼ばれ、明日香村野口の路傍にあります。
ところ変わって、吉備姫王の檜隅墓にあるこれらの石像は猿石と呼ばれています。付近の田圃から出土したようです。
亀石と猿石は、宮殿や寺院の置かれたエリアと王陵墓エリアの境界にあることから、結界石の役割を果たしたものではないかと言われています。
こちらの左の写真の石造物も亀です。亀形石造物といって、水槽の役目を果たしていました。右の写真でおわかりのように、樋を伝って流れてきた水が、四角い水槽を経て亀の頭に落ち、尾っぽから流れ出るという仕組みです。
こちらは酒船石。亀形石造物の背後の山中にあります。斉明天皇の両槻宮はここにあったのではと考えられ、酒船石や亀形石造物は、宮殿の祭祀に用いられたのではないかという考えが有力のようです。
左は鬼の俎、右は鬼の雪隠と呼ばれます。鬼の俎は小高い丘に、雪隠はそのすぐ近くの丘の下にあります。風の森に通行人をだまして食べる鬼がいて、これらはその鬼が使ったものという伝説からそのように呼ばれていますが、実際にはこれらは横穴式石槨の石室と底石でした。
上の二つは甘樫丘東方の石神遺跡から出土したもので、左は須弥山山、右は石人像と呼ばれています。どちらも噴水のように水が噴き出すようになっているのですが、出土した石上遺跡は斉明天皇の時代に外国の使節などをもてなした場所と考えられることから、これらは饗宴用ではないかと言われています。(現在は飛鳥資料館に展示されています)
飛鳥の石造物は他にもあり、これらはその一部です。意外にも飛鳥は石の文化が濃厚なようです。