飛鳥川の上流を奥飛鳥と言いますが、その稲渕地区に日本の棚田百選にも選ばれている見事な棚田があります。
標高差は五十メートルほど。この高低差のある土地に、複数の井出(井堰)を設け棚田が作られました。開墾は平安時代から室町時代ごろと言われています。
ここは彼岸花の自生地としても有名です。上の写真二枚は8月末のものですが、今頃行くと田圃は黄金色に染まり、また違った風景が楽しめるでしょう。
ちなみに稲渕の集落の北に、七世紀中頃のものと思われる大型建物群の遺跡があります。飛鳥稲渕宮殿跡と呼ばれますが、これは『日本書紀』孝徳紀に記された「飛鳥河辺行宮」、つまり大化の改新後の白雉四年(六五三)中大兄皇子らが難波から飛鳥に戻ってきたとき、一時的に使用したものではないかと言われています。
飛鳥は遺跡の宝庫なので、自然と寄り道が増えます。