飛鳥駅から北西に一キロほどの山中。薄暗い山道の先に光が射し込む場所に巨大石造物が忽然と姿を現します。高さは五メートル、横幅は十一メートル、奥行き八メートルほどの、益田岩船です。
あいにく背丈が足りず撮影できませんでしたので、橿原探訪ナビをご覧いただけたらと思いますが、上部に一、六メートル四方、深さ一、三メートルの穴が二つ開けられています。
こちらは反対側に回り込んだときの姿。
灌漑用の益田池の築造を記念して弘法大師が建立した石碑の台石であるとか、星占いのための台であるとか、諸説ありますが、未完の双室墓ではないかという説が有力のようです。
上から下に向かって穴を彫り、完成したところで穴が側面に来るように倒すと横穴式石槨になります。ところが途中で石に亀裂が入ってしまい、それ以上彫り進めることができなくなり、この状態で放置されたのではないか…ということです。
じっくり観察したかったのですが、すさまじいヤブ蚊に襲撃され目を開けていることもままならず、早々に退散しました。
飛鳥にはこのほかにも独特な形をした石造物が点在しています。益田岩船はその中でも最大のものです。
別の機会に、そうした石造物の風景をご紹介しますので、どうぞお楽しみに。